
目次
乳がん検診の結果に、
「局所的非対称性陰影」
「FAD」
「左右非対称の陰影」
などと書かれていて、不安になった方もいらっしゃると思います。
「局所的非対称性陰影とは何ですか?」
「乳がんの可能性が高いのでしょうか?」
「どのような精密検査を受けるのでしょうか?」
このような疑問を持つのは自然なことです。
まず知っていただきたいのは、局所的非対称性陰影(FAD)は病名ではなく、マンモグラフィに写った所見を表す言葉だということです。
FADを指摘されたからといって、乳がんと診断されたわけではありません。一方で、マンモグラフィだけでは正常な乳腺の重なりなのか、しこりなどの病変が隠れているのか判断できないことがあるため、要精密検査と判定された場合は乳腺外科で詳しく確認する必要があります。
局所的非対称性陰影(FAD)とは?

FADは「Focal Asymmetry」または「Focal Asymmetric Density」の略称として使われ、マンモグラフィで左右の乳房を比較したときに、片側の一部分だけが反対側より白く、濃く写っている所見を指します。
マンモグラフィでは、脂肪は比較的黒く、乳腺は白く写ります。乳がんや良性のしこりも白く写ることがあるため、乳腺と病変が重なって見えることがあります。
FADは、しこりのように明確な輪郭を持っているとは限りません。
「反対側と比べて一部分だけ乳腺が多く見える」
「正常な乳腺の重なりかもしれないが、病変がないか確認した方がよい」
という段階の画像所見です。
FADと高濃度乳房、乳房の左右差は同じものですか?
FADは、高濃度乳房や、見た目の乳房の大きさの左右差とは異なります。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 局所的非対称性陰影(FAD) | 片側の乳房の一部分が、反対側より白く濃く見える所見 |
| 高濃度乳房 | 乳房全体に占める乳腺の割合が多い状態 |
| 乳房の左右差 | 見た目の大きさや形が左右で異なること |
FADはあくまでマンモグラフィ上の局所的な所見です。見た目や触った感触では分からず、症状がまったくない方にも指摘されることがあります。
なぜFADのように見えるのですか?
FADとして写る理由には、いくつかの可能性があります。
正常な乳腺の重なり
マンモグラフィは乳房を圧迫し、立体的な乳房を平面の画像として撮影する検査です。
そのため、正常な乳腺が重なり合い、部分的に白く濃い影として見えることがあります。追加の方向から撮影したり、圧迫する位置を変えたりすると、影が目立たなくなる場合があります。
もともとの乳腺の左右差
乳房は、内部の乳腺の量や分布も左右で完全に同じとは限りません。
以前のマンモグラフィでも同じ位置に同じ所見があり、変化がないことを確認できれば、もともとの乳腺の左右差と判断できることがあります。そのため、過去のマンモグラフィ画像との比較が非常に重要です。
良性の病変
線維腺腫、乳腺症、そのほかの良性変化によって、部分的に乳腺が濃く見えることがあります。
マンモグラフィだけでは病変の有無や性質が分からない場合があるため、乳房超音波検査を組み合わせて確認します。
乳がん
頻度は高くありませんが、FADとして見えている部分に乳がんが隠れていることもあります。
特に、過去の画像にはなかった影が新たに出現している場合や、以前より濃く、広くなっている場合、乳腺の構造に乱れがある場合などは、慎重な評価が必要です。
FADを指摘されたら、乳がんなのでしょうか?

FADを指摘されたからといって、乳がんが確定したわけではありません。
精密検査の結果、
- 正常な乳腺の重なり
- もともとの乳腺の左右差
- 良性のしこり
- 経過観察でよい変化
と判断されることもあります。
一方で、検診のマンモグラフィだけでは乳がんを否定できない場合があるため、「要精密検査」「カテゴリー3以上」などと判定されている場合は、自己判断で放置せず、乳腺外科を受診することが大切です。
マンモグラフィのカテゴリーについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
精密検査では何をするのですか?

FADの精密検査では、検診画像と過去画像を確認したうえで、必要に応じてマンモグラフィの追加撮影や乳房超音波検査を行います。
検診結果と画像の確認
まず、検診結果通知書を確認し、
- どちらの乳房か
- 乳房のどの位置か
- カテゴリーはいくつか
- FAD以外の所見があるか
- 過去の画像と比べて変化があるて変化があるか
などを確認します。
検診を受けた施設から画像データを受け取れる場合は、持参していただくと、より正確な比較ができます。
マンモグラフィの追加撮影
検診時とは異なる方向から撮影したり、気になる部分を局所的に圧迫して撮影したりすることがあります。
正常な乳腺が重なって影のように見えている場合は、追加撮影によって乳腺が広がり、影が目立たなくなることがあります。
一方、追加撮影をしても同じ位置に影が残る場合には、乳房超音波検査などでさらに詳しく確認します。
乳房超音波検査
乳房超音波検査では、FADを指摘された部分を中心に、
- しこりがあるか
- しこりの大きさや形
- 境界が明瞭か
- 内部の状態
- 周囲の乳腺との関係
などを確認します。
マンモグラフィで白く濃く見えていた部分が正常な乳腺なのか、良性または悪性の病変によるものなのかを判断するために重要な検査です。
必要に応じて組織検査
追加のマンモグラフィや乳房超音波検査で、良性か悪性かを画像だけでは判断できない病変が見つかった場合には、針生検や吸引式乳房組織生検(VAB)を検討します。
局所麻酔を行い、病変の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる検査です。
ただし、FADを指摘されたすべての方に組織検査が必要になるわけではありません。
画像所見や過去画像との比較から、正常な乳腺または良性の変化と判断できる場合には、組織検査をせず、通常の検診に戻ることや、一定期間後の画像検査で経過を確認することもあります。
組織検査については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
どれくらい急いで受診すればよいですか?

受診の緊急性は、マンモグラフィのカテゴリーや、ほかの画像所見、症状の有無によって異なります。
FADのみであれば、直ちに救急外来を受診しなければならないケースは多くありません。ただし、要精密検査と判定されている場合は、そのまま数か月以上放置せず、結果を受け取ったら乳腺外科の予約を取りましょう。
また、
- 乳房に新しいしこりを触れる
- 乳房の皮膚にへこみやひきつれがある
- 乳頭から血の混じった分泌液が出る
- 乳頭や乳輪にただれがある
- わきの下にしこりを触れる
などの症状がある場合は、検診結果にかかわらず早めに乳腺外科へご相談ください。
受診時に持参するとよいもの

FADの精密検査で受診する際は、可能であれば次のものをご持参ください。
- 乳がん検診の結果通知書
- 診療情報提供書・紹介状
- 検診時のマンモグラフィ画像
- 過去のマンモグラフィや乳房超音波検査の画像・結果
- お薬手帳
紹介状や画像データが手元にない場合でも受診は可能です。ただし、過去画像との比較によって判断しやすくなることがあるため、以前の検査画像を入手できる場合は持参をおすすめします。
お茶の水乳腺クリニックへご相談ください

お茶の水乳腺クリニックでは、マンモグラフィで局所的非対称性陰影(FAD)を指摘された方の精密検査に対応しています。
検診結果や過去画像を確認したうえで、マンモグラフィ、乳房超音波検査を行い、必要に応じて針生検や超音波ガイド下吸引式乳房組織生検(VAB)まで対応します。
マンモグラフィでのみ確認できる病変に対するステレオガイド下生検や、乳房造影MRIなどの検査が必要な場合は、大学病院・専門病院や近隣の画像検査施設と連携してご紹介します。
乳がんと診断された場合にも、ご希望を伺いながら、治療を行う大学病院・専門病院へ速やかにおつなぎします。
「FADと言われたが意味が分からない」
「どこで精密検査を受ければよいか迷っている」
「過去の画像と比べて詳しく確認してほしい」
という方も、お気軽にご相談ください。
紹介状がない方は、予約画面の「初診【症状ありまたは検診要精査】」からご予約ください。



