遺伝カウンセリング
遺伝カウンセリング

遺伝カウンセリングとは、遺伝性の病気や体質について、正確な情報を提供しながら、患者さんやご家族が十分な理解のもとで意思決定できるよう支援する専門的な相談です。乳がんに関連する遺伝カウンセリングでは、主に「遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC:Hereditary Breast and Ovarian Cancer)」が対象となります。
HBOCは、BRCA1またはBRCA2という遺伝子に生まれつきの変異(病的バリアント)がある場合に、乳がんや卵巣がんをはじめとするいくつかのがんを高い確率で発症するリスクがある状態をいいます。日本では乳がん全体の約5〜10%が遺伝性とされており、そのうちHBOCがもっとも多い原因といわれています。 遺伝カウンセリングは「遺伝子検査を受けること」を勧めるものではなく、患者さん自身が正しい情報をもとに、検査を受けるかどうかを自律的に判断できるよう支援することを基本としています。
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事前問診・家族歴の確認
3世代にわたる家族歴(がんの既往・年齢・部位など)を整理します。
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遺伝専門医・遺伝カウンセラーによる面談
遺伝性がんの仕組み、BRCA1/2変異の意味、リスク評価、検査の選択肢について説明します。
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BRCA1/2 遺伝子検査(希望者)
血液を採取し、専門機関にてBRCA1/2の病的バリアントを調べます。
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結果の説明と今後の対応
検査結果に基づき、リスク低減の方法(サーベイランス・予防的手術など)を検討します。
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フォローアップ
必要に応じて継続的な相談・サポートを行います。
BRCA1/2遺伝子検査は、乳がんや卵巣がんの治療中の患者さんに対しては保険診療として実施できる場合があります(2020年より保険適用)。一方、乳がん未発症の方が予防目的で検査を受ける場合は自費診療(保険適用外)となります。 検査結果は「陽性(病的バリアントあり)」「陰性(病的バリアントなし)」「意義不明のバリアント(VUS)」のいずれかで報告されます。陽性と診断された場合でも、必ずがんになるわけではなく、適切なサーベイランスや予防的介入によってリスクを下げることが可能です。
乳腺については乳腺MRI・マンモグラフィによる年1回以上の乳房検査などが必要となるほか、卵巣がん検査や膵臓がんに対する検査などを含む定期的なフォローが必要となるため、専門施設をご紹介します。
BRCA1/2陽性で高いがんリスクがある場合、リスク低減乳房切除術(RRM)やリスク低減卵巣卵管切除術(RRSO)が選択肢となります。これらの手術は日本でも一部で実施されており、希望者には専門施設をご紹介します。
遺伝情報は極めて個人的かつ家族全体に影響を与える可能性がある情報です。当院では、遺伝カウンセリングで得られた情報は厳格に管理し、本人の同意なく第三者に開示することはありません。就職・保険加入などで遺伝情報が不当に利用されることへの懸念については、カウンセリングの中で丁寧にご説明いたします。 「自分はどのくらいのリスクがあるのだろう」「家族に知らせるべきか」「検査を受けるかどうか迷っている」など、どんなことでも気軽にご相談ください。遺伝カウンセリングは意思決定を強制するものではなく、皆様が納得して選択できるよう、専門家がしっかりと伴走します。
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